今から13年も前のことですが、2005年にニュージーランド、オークランドの近くの幼稚園に研修に行きました。
日本のインターナショナルスクールでの就職がほぼ決まっていて、そのスクールからのモニターとして1ヶ月間行かせてもらったのです。
幼稚園の様子
初めて幼稚園に行った日・・・衝撃でした!
子どもたちは、登園してバックパックをロッカーに入れたらいきなり遊ぶ!
みんなで集まるモーニングティータイム(朝のおやつタイム)、マットタイム、ランチタイムがあり、それ以外は自由に遊びます。
室内と園庭は行き来自由で、室内には丸いテーブルが3つほどあり、そこにはクラフトだったり何かしらのアクティビティが用意されています。(先生が毎日違うものを用意します。)
それをするのもしないのも自由。
何か作品ができたら壁に飾られます。
私の記憶にあるような、「みんな一斉に先生の見本を見て同じ絵を描いたり同じ作品を作る」という風景は一切ありません。
ランチを食べる場所もウッドデッキだったり、園庭だったり、日によって色々。
ある日、園庭でペンキ塗りごっこをしてるボーイズがいて、水の入ったバケツにブラシをつっこんで遊具のお家やお互いの体にペンキを塗ってるふりをしてびっちょびちょに・・・
「わぁ〜〜これは先生に怒られそう。。」って思って見ていたら、それを見た先生は笑顔で"Well done~!!"
えっ何て・・!?これ、いいんや。。^^;
私の中の「常識」はどんどん崩れていきました。
先生が前に立って何かをするのはダンスをしたり絵本の読み聞かせをする時ぐらいで、前に立って子どもたち全員に指示を出したりすることはありません。
先生が大きな声で注意したり叱るようなシーンも見なかったですが、子ども同士がもめたりすることはあまりなく、おもちゃのシェアなどもできていて、子どもたちの問題に大人が介入することはあまりありませんでした。
私が行った園は2歳〜5歳の子たちが全員一緒に過ごしていました。
子どもが主体となり、先生は室内、園庭に2人ずつぐらいいて見守っていました。子どもたちと一緒に遊んだりすることもあります。
遊び中心なので、色々なおもちゃがありました。パズルや積み木のようなもの、ままごとやお店屋さんごっこができるようなもの 、着替えて遊べる色々な衣装、絵本・・・
自由に遊んでいてもお片づけの時間になるときちんとみんな元の場所に片付けることができます。
私がいた時は、その月のテーマが"animal"だったので、動物に関するものが色々用意されていたり、ある日は先生の飼い犬をみんなで洗ってあげたり、ある日はどこからかラマがやってきました!(笑)リードを持ってみんな順番に園内をお散歩してました。
しめくくりはanimal disco!みんなanimalの姿で登園してパーティーです。踊ったり、フェイスペイントをしたり、おやつを食べたり。
スパイダーマンもいてました(笑)
本当に楽しくて、子どもだったら絶対こんな園に通いたい!と思いました。
ニュージーランド独自の幼児教育「テファリキ」
世界でも水準が高いと言われるニュージーランドの幼児教育。だんだん認知度が上がってきているようです。
昔はネットで調べてもなかなか情報が得られなかったですが、今ではすぐに見つけられます。分かりやすいサイトを発見!⇨こちら
テファリキについては実際に学んだわけではないので、ニュージーランドの先生から聞いたことや本やネットで調べられることしか分からないですが、ザックリとはこんな感じ。
⇩
1996年に幼保統一カリキュラムとして定められる。(2017年に改訂)
4つの原則と5つの要素からなり、これにそれぞれの園がオリジナリティを加えているよう。
4つの原則
・Empowerment
・Holistic Development
・Family and Community
・Relationships
5つの要素
・Well-being
・Contribution
・Exploration
・Belongings
・Communication
「テファリキ」とはマオリ語で縦横に編むという意味で、この4つの原則と5つの要素を絡み合わせたカリキュラムという意味のようです。
子どもが主体となり、保育者は子どもの遊びをサポートするという教育法で、子どもの個性を育てます。
ラーニングストーリー
この幼児教育の特徴の一つがラーニングストーリー!先生によって書かれた、子どもの園での様子や成長の様子などの記録で、一人一人の子どもに1冊ずつあります。保護者はいつでも観覧でき、卒園児にもらえるようです。
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モンテッソーリ教育との類似点と相違点
子どもが主体であり、先生は「教える」ではなく、「サポートする」という位置づけである点はモンテッソーリと同じ。
子どもであっても一人の人として敬意を持って接し、子どもの個性や自主性を尊重します。
違う点は、テファリキでは「遊び」の中から学ぶとし、インドア、アウトドア共にたくさんの遊びが用意されています。一人で遊ぶのもお友達と遊ぶのも自由。(・・だと思います)
モンテッソーリでは子どもの発達に注目し、その発達を遂げるためにモンテッソーリ教具を用いた「ワーク」(お仕事)が用意されています。基本的には一人でワークに取り組みますが、ワークによっては二人でするものなどもあります。
日本の幼児教育と比べて・・
幼稚園や保育園の役割として、子どもが心身ともに自立することをサポートするという点では日本でもニュージーランドでも、きっと他の国でも同じかな・・と思いますが、ニュージーランドの幼稚園を見て、決定的に違うと感じたのは「先生」という存在の位置づけや先生と子どもの関係性。
日本では、先生は子どもに何かを教えたり指示を出したり、子どもをコントロールするという立場にあると思います。そのためには個別より集団の方が効率が良く、個性を大事にするよりは協調性を育むことに重きを置いていると感じます。
その関係性から、大人には権力があり、子どもを子ども扱いする・・ということが起こってしまうのだと思います。
日本では集団で何かを成し遂げることが素晴らしいと評価されるので、運動会や発表会などが盛大に行われたりします。
一生懸命練習を重ねたり、努力することが評価され、結果に重点を置いているのです。(受験勉強などもそうですよね。。)
テファリキやモンテッソーリ教育では、結果よりも過程に重点を置いていて、取り組む過程そのものやそれを楽しむことを目的とし、結果はその先についてくるものなのです。
どちらにおいても、それが普通という環境の中で育てば疑問を感じることはないと思いますが、全く違う環境を知ればびっくりすると思います。
保育者や親という立場で・・・
自分自身が子どもの頃は日本の教育しか知らなかったので、それが嫌とかそういった感情はありませんでしたが、海外に出てみて全然違う教育があることを知り、子どもの頃にもっと色々体験したかった・・と思いました。
保育者や親という立場では、広い視野を持って、日本の常識だけに捉われず、子どもにとって本当に必要なことを与えてあげられる存在でありたいと思います。
そんな風に考えるきっかけをくれたニュージーランドの幼稚園。
日本にはインターナショナルスクールであってもニュージーランドのような環境の園はなく、あれに近い幼児教育・・と探して辿り着いたのがモンテッソーリ園でした。
もしニュージーランドで働き、子育てをしていたら、モンテッソーリ教育に興味を持ち、深めるまでには至らなかったかも知れません。。
保育や教育関係のお仕事をされている方、他の教育について知りたいと思われているパパやママ、親子留学を検討されている方、モンテッソーリ教育は素晴らしいですが、ニュージーランドの幼児教育もとても魅力的ですよ♪